ライバル店は最高の教科書！飲食店競合調査で成功を掴む５つのステップ

新規出店時はもちろん、安定した集客を実現するためにも、飲食店経営において「競合店調査」は欠かせないプロセスです。しかし、「どんなお店を」「どうやって」調べれば良いのか、具体的にイメージできない方も多いのではないでしょうか？

今回は、競合店調査を行うメリットを再確認し、調査を成功させるための５つのステップと、調査結果をどのように自店の成長に活かしていくか、具体的な方法をご紹介します。

なぜ競合店調査が重要なのか？５つのメリットを再確認！

- 競合店調査は、まるでライバル店という名の教科書を読み解くように、多くの学びを得られる機会です。具体的なメリットは以下の５つ。
  
  1. 市場を分析することができる 競合店のメニュー構成や価格設定、客層、営業時間などを分析することで、その地域のニーズやトレンドを把握できます。例えば、近隣に会社が多いエリアでは、ランチタイムにスピード提供を売りにするお店が繁盛していたり、単身世帯が多い地域では、深夜営業の店が人気を集めていたりするなど、市場の傾向が見えてきます。定期的な競合店調査を実施している店舗は、未実施店舗と比べて平均で20%以上の売上増加が見込めると言われています。
  
  2. 顧客分析をすることができる 競合店を利用するお客様の声を収集することで、潜在的なニーズや不満を把握できます。口コミサイトやSNSでの評判をチェックしたり、実際に来店して顧客を観察することで、お客様が「本当に求めているもの」が見えてきます。
  
  3. サービス向上を図れる 競合店のサービスやオペレーションを分析することで、自店に足りない部分や改善点を見つけることができます。例えば、競合店の接客が好評であれば、自店の接客対応を見直し、お客様満足度向上につなげられます。
  
  4. 新規事業展開に役立つ 新規出店を検討する際、競合店調査は必須です。競合店の状況を分析することで、出店エリアの選定や、提供する商品・サービス、ターゲット層の絞り込みなど、成功確率を高めるための戦略を立てることができます。
  
  5. 競合店と差別化を図ることができる 競合店との違いを明確にすることで、自店独自の強みを打ち出し、顧客に選ばれるお店を目指せます。例えば、競合店が価格競争を仕掛けてくる中で、高品質な食材にこだわったり、特別なサービスを提供したりすることで、価格以外の魅力で差別化を図れます。

2. 飲食店競合調査、成功を掴む５つのステップ

競合店調査を成功させるために、具体的な手順とポイントを５つのステップにまとめました。

ステップ1. 調査対象を選定する

闇雲に多くの店を調べるのではなく、「比較されるお店」と「比較されないお店」の２つの軸で競合を分類し、戦略的に選定します

～比較されるお店 (５～10店舗)～

- 業態が類似している（例：イタリアン、ラーメン店など）
- 価格帯が近い
- ターゲット層が重なっている
- 立地が近い
～比較されないお店 (２～３店舗)～
- 業態は異なるが、顧客層のライフスタイルや価値観が近い（例：カフェとフラワーショップ、居酒屋とスポーツバーなど）
- 独自のサービスや商品展開で成功しているお店

ステップ2. 調査項目を明確にする

調査の目的を達成するために、事前に具体的な調査項目を設定します。

【基本情報】

✅店舗名、住所、電話番号

✅営業時間
✅席数
✅客単価
✅ターゲット層
✅コンセプト

【外観】

✅視認性：道路から見やすいか、看板のデザインや大きさは適切か？
✅雰囲気：ターゲット層に合った雰囲気か？高級感、カジュアル感など。
✅清潔感：店頭、看板などは清潔に保たれているか？

【店内環境】

✅レイアウト：席数、テーブル配置、動線はスムーズか？
✅雰囲気：照明、音楽、内装などはお店のコンセプトに合っているか？
✅清潔感：テーブル、床、トイレなどは清潔に保たれているか？

【メニュー】

✅価格設定：競合店と比べて高いか、安いか、妥当か？
✅構成：看板メニューは何か？ターゲット層に合わせたメニューは用意されているか？
✅写真：料理の魅力が伝わる写真が使われているか？
✅アレルギー表示：対応しているか？

【商品・サービス】

✅味：実際に料理を注文し、味、量、盛り付けなどを評価する。
✅提供時間：料理提供までの時間は適切か？
✅ドリンクメニュー：アルコール、ソフトドリンクの種類は豊富か？
✅接客：スタッフの対応は丁寧か、親切か、プロ意識を感じるか？
✅会計方法：現金、クレジットカード、電子マネーなど、対応している決済方法は？

【集客・販促】

✅Webサイト：見やすさ、情報量、最新情報の更新頻度
✅SNS：運用状況、フォロワー数、エンゲージメント
✅口コミサイト：評価、口コミの内容
✅チラシ、クーポン：配布状況、内容
✅イベント、キャンペーン：実施状況、内容

ステップ3. 情報収集を行う

複数の方法を組み合わせて、多角的に情報を収集します。

【実地調査（重要度：高）】

実際に店舗に足を運び、五感を使いながら情報を収集します。お店の雰囲気やサービスを肌で感じ、顧客の反応を観察することで、Web上では得られないリアルな情報を得ることができます。
可能であれば、ターゲット層の行動が活発な時間帯（ランチ、ディナータイムなど）に訪れるようにしましょう。
実際にお客様として料理や飲み物を注文し、味や量、盛り付けなどを評価します。
スタッフの接客態度やサービス、オペレーションなどを観察します。
店内の雰囲気や客層、混雑状況などを記録します。

【インターネット調査（重要度：中）】

食べログ、ぐるなびなどのグルメサイトや、お店のホームページ、SNSアカウントをチェックします。口コミ情報や写真、動画なども参考にしましょう。

・公式サイト
お店のコンセプトやメニュー、価格帯、写真などを確認します。最新情報やキャンペーン情報などもチェックします。
・グルメサイト
評価点数や口コミの内容、写真などを参考にします。良い点だけでなく、悪い点もチェックすることで、客観的な評価を心がけましょう。
・SNS
お店の最新情報やイベント情報、顧客とのコミュニケーションなどを確認します。どのような層に支持されているのか、どのような点が評価されているのかを分析します。

【公開情報（重要度：低）】

会社四季報などの企業情報を活用し、チェーン店の場合は経営状況などを把握します。

ステップ4. 分析・評価を行う

収集した情報は、以下のポイントを踏まえて分析し、自店との比較を行います。

・客観的な視点：感情や先入観を排し、客観的な視点で分析することが重要です。
・顧客目線：ターゲット顧客になったつもりで、競合店を評価してみましょう。
・数値化：可能な限り数値化することで、客観的な比較が容易になります。

【分析に役立つフレームワーク】

3C分析
市場・顧客 (Customer)、競合 (Competitor)、自社 (Company) の３つの視点から分析を行うことで、市場における自社の立ち位置や、競争優位性を明確にすることができます。
SWOT分析
自社の強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の４つの要素を分析することで、今後の事業展開における戦略策定に役立ちます。
4P分析
製品 (Product)、価格 (Price)、流通 (Place)、プロモーション (Promotion) の４つの要素を分析することで、マーケティング戦略の最適化を図ることができます。