外国人材は“欠員補充”ではない──飲食業界の新たな戦略的人材採用

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慢性的な人手不足、厳しさを増す価格競争、そして相次ぐ不祥事。コロナ禍を経てもなお、飲食業界の経営環境は厳しい。店を訪れる客足は戻りつつあるものの、業界の先行きは決して楽観できるものではない。

なかでも、深刻な課題として長らく叫ばれているのが「人手不足」だ。厚生労働省の調査によれば、飲食業の離職率は26.8%と、全業種平均を大きく上回る。過酷な労働環境に加え、給与水準の低さや休暇の取りづらさといった構造的な問題が、「人が定着しない」業界の体質を強固にしている。

こうした状況の打開策として注目すべきなのが、「外国人材の戦略的活用」である。

人手不足をチャンスに変える視点

外国人労働者は、2024年10月末時点で日本国内に約230万人在籍している。そのなかでも「特定技能」制度により受け入れが進む飲食業界では、彼らの果たす役割は拡大している。

とはいえ、外国人材の採用に対しては未だに根強い懸念の声がある。「日本語が通じないのではないか」「接客に不安がある」「トラブル対応は任せられない」──。これらは、根拠の乏しい偏見やメディアによる一部のみの報道によって不安が生じている可能性が否めない。

一方で、実際に外国人材を導入した現場からは、「業務への貢献度が高い」「教育体制を見直すきっかけになった」といった前向きな声も聞かれる。やる気に満ちた姿勢、誠実な勤務態度、そして高い成長意欲。こうした資質は、多くの企業にとって不可欠な魅力であるはずだ。

飲食業界に補充すべきものとは

図解1今の飲食業界は、いわゆる「3K(キツイ・汚い・帰れない)」というネガティブなイメージに苦しんでいる。志をもって入ってきた若手ですら、環境に失望して離れていくケースが後を絶たない。育成コストを嫌い、人を育てることを諦める店舗も少なくない。

ここで求められているのは、単なる欠員補充ではなく「やる気の補充」であり、そのきっかけとなるのが、外国人材である。

彼らは、日本で働くことに明確な目的を持っている。経済的安定、自身の成長、家族への仕送り──。遊びの延長線上ではなく、人生をかけて来日している。そんなまっすぐな動機と熱意があるからこそ、「もっと仕事を任されたい」「お客様に喜んでほしい」といった内発的なモチベーションに繋がる。

接客とは、最終的には“人間力”に行き着く。言葉の壁や文化の違いは、時間と教育で乗り越えられる。だが、働くことに誇りを持ち、喜びを見出そうとする姿勢は、教えて身につくものではない。

多様性は競争において“武器”になる

外国人材がもたらす価値は、労働力の補填だけにとどまらない。異なる文化や視点を持つ彼らは、業務改善や商品開発の現場でも新たな気づきを提供してくれる。インバウンド需要が高まる今、外国語に対応できるスタッフの存在は、飲食店の競争力そのものだ。

特に都市部の店舗では、英語や中国語、ベトナム語などに対応できるスタッフの有無が、売上やリピーターの獲得に直結するケースも増えている。外国人スタッフは、単なる「助っ人」ではない。インバウンドにも対応できる戦略的人材であり、企業の未来をともに創るパートナーと言えるだろう。

外国人材は“変革の起点”である

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働き手が誇りを持てず、持続可能な経営が難しいという、より根本的な構造的問題を抱えている飲食業界。だからこそ必要なのは、“穴埋め”としての採用ではなく、価値観を揺さぶるような存在だ。

異なる文化で育ち、異なる言語を話しながらも、日本の食文化を学び、現場で必要とされたいと願う外国人材。彼らは、業界に新しい視点をもたらし、停滞した現場に風穴を開け、働く意味を再構築する“変革の起点”である。彼らの覚悟と行動力は、業界が忘れかけていた「なぜ、この仕事をするのか」という原点を、改めて思い出させてくれる。

「働きがい」こそが接客力の源であり、接客こそが外食業の肝である。飲食店は「食」という人間の根本的な欲求を満たすだけでなく、楽しい時間を提供する場であり、私たちにとって最も身近なエンタメなのだ。

彼らをどう活かすか。それは、飲食業がこれから何を目指すのかを示す問いでもある。

 

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青山萌依
G-FACTORY株式会社 Promotion Support 大学在学中より、学科新聞の編集長として企画・編集・デザイン・取材・執筆を一手に担当。インターンシップではウェブライターとして活動し、金融・飲食・マッチングアプリなど多岐にわたる分野で執筆を経験。情報の本質を捉え、読者に伝わるコンテンツづくりを追求してまいります。
青山萌依
G-FACTORY株式会社 Promotion Support 大学在学中より、学科新聞の編集長として企画・編集・デザイン・取材・執筆を一手に担当。インターンシップではウェブライターとして活動し、金融・飲食・マッチングアプリなど多岐にわたる分野で執筆を経験。情報の本質を捉え、読者に伝わるコンテンツづくりを追求してまいります。