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食品ロスゼロを達成した地球に優しいカフェ「アマレーナ×ラフラボカフェ」【SDGs×飲食業界】
飲食店では生ごみや食材の包装など、日々廃棄物が出ます。
2021年5月時点で最新のデータとして、国際連合食糧農業機関(FAO)が2011年に発表したレポート「世界の食品ロスと食料廃棄」によると、世界で生産された食料の約3分の1、13億トンほどが廃棄されているそうです。10年前のデータなので、現在はもっと増えているかもしれません。
ほとんどの飲食店は、原価率を抑えるためにも食材をきちんと使い切るよう努めていると思いますが、反面食べ残しなどで廃棄食品が出てしまっている現状もあります。ただ、食材や廃棄食品を減らすことは持続可能な暮らしにとって重要な取り組みです。
実際に、持続可能な社会を目指して国連が定めたSDGs(※)の中でも、食べ切れない食品の削減に関して言及されています。食品ロスは世界で取り組むべき課題なのです。
なかなか食品ロスを根絶するのは難しいと考えている飲食店オーナーもいるかと思いますが、大阪・肥後橋には食品ロスゼロを達成したカフェがあります。イタリアンスイーツが大人気の「アマレーナ×ラフラボカフェ」(運営:株式会社廣起)です。同社が行う取り組みに関して、代表取締役 廣木雄一郎氏にお話をお伺いしました。
(※)SDGs(持続可能な開発目標)とは、ジェンダー平等や貧困、飢餓、環境問題など国際的に取り組む必要がある課題に関して定められた国際目標。
―飲食店をオープンすることになったきっかけを教えてください。
もともと当社では、スポーツイベントの運営や人材事業など、飲食店とは関係ない事業を行っておりました。
2020年5月頃、あるコワーキングカフェを運営していた女性経営者の方が新型コロナの影響で事業の縮小を行うと聞きました。その女性経営者が運営していたのは、「diamond in the rough(ダイヤモンドの原石)」をコンセプトとする、2階がコワーキングスペース、1階がCAFEのコワーキングカフェ「ROUGH LABO」でした。
同店のコンセプトには、一人一人が自分の原石を磨き続けるためにラフにコミュニケーションをとれ、新しい一歩を踏み出せる場となるようにという想いが込められていたのですが、実際に新しいことにチャレンジしたい20代の若者や若手起業家が集まって交流していました。
ブランドを残しながら、コワーキングスペースの事業を弊社が引き継ぎ、経営することになりました。
1カ月たった2020年8月から、以前から別事業にて交流のあった洋菓子店アマレーナに協力していただき、1階のカフェのみコラボカフェ「アマレーナ×ラフラボカフェ」としてリニューアルしました。
―アマレーナとのコラボカフェとしてオープンされたのはなぜですか?
当時アマレーナは、大阪の天神橋筋4丁目に1店舗経営していたのですが、テナントの関係で移転をしなければならなくなり、1店舗は天神橋筋六丁目でテイクアウトのみの販売をするお店として移転し、もう1店舗カフェとしての出店も考えていました。そこで、私が関わるラフラボカフェとアマレーナがコラボで出店するのはどうか、と提案しコラボカフェとして、リニューアルオープンしました。
コラボすることで、アマレーナの洋菓子店としてのノウハウを活かしながら、ラフラボカフェの素敵な空間や設備も活かし、相乗効果が生まれると考え、コラボカフェが生まれました。
―強い味方を得て、飲食店を出店されていかがですか?
実際に運営を開始したところ、売れ残りなど廃棄となってしまう商品が多いことを知りました。飲食店の運営経験のない私は、それが当たり前と思うことができず……。とてもおいしい商品で、まだ問題なく食べられるにもかかわらず捨ててしまうことに、「もったいない」と強く感じたのです。どうにかできないかと考え、食品ロス削減に取り組み始めました。
ちょうど同じ頃、SDGsについて知る機会があり、内容について理解を深める中で今後意識していく必要がある大切な考え方と認識するように。同時に、私がもったいないと感じている食品ロス削減はSDGs達成に貢献すると分かり、より注力して取り組むようになりました。
食品ロス削減に関して詳しくはこちら⇒SDGs達成に向けて飲食業界ができること ー目標2.飢餓をゼロにー
―どのようなことを実施されたのですか?
最初は、売れ残りなどの問題なく食べられる廃棄対象商品をすべて私がもらい、当社オフィスを訪れた人や友人に配っていたのですが、アマレーナの代表にも協力してもらい、本格的に食品ロス削減に尽力するようにしました。
具体的には、売れ残った商品と、毎回捨てている製造過程で生じたクロスタータの切れ端を、アマレーナの他店舗からも集め再利用したのです。
アマレーナ×ラフラボカフェはビルの少し奥まった位置にあるのですが、コロナ禍で人流が減ったことから売上が下がったため、1日3時間、通りに面した場所で商品の店頭販売を開始しました。その際に、道行く人にクロスタータの切れ端を配布し試食していただいたのです。
切れ端は店頭だけでなく、店内でも無料で配布しました。おかげで当店のクロスタータの認知度が高まり、購入につながるケースが増加しました。食品ロス削減は、取り組み方次第で広告にもなることが分かった貴重な経験でした。
それだけでなく、思わぬ機会も生んでくれたのです。店頭で配布したことにより、近隣の飲食店の方々と交流するきっかけになりました。
―そんな効果も!他にも食品ロス削減に関して実施されている取り組みはありますか?
今後、サルベージパーティを行う予定です。
サルベージパーティとは、参加者がそれぞれ廃棄となりそうな食材を持ち寄り、協力して料理をし、楽しく食べるというものです。それを近隣の飲食店の方と一緒に行うことができればと思っています。
当店のある肥後橋エリアの飲食店全体で一丸となり、食品ロス削減に取り組むことができればすてきですよね。もちろん近隣の飲食店だけでなく、他のエリアからも参加していただければ、宣伝効果を期待できます。
もともと当社はイベント事業を行っている企業で、人を集めるのではなく、「また行きたい」と人が集まる場をつくる努力を重ねてきました。当店にとっても、他の飲食店様にとっても有益となるイベントを開催できればと思います。
また、地域の飲食店同士のつながりが強くなれば、互いに紹介し合い、送客しあうこともできると考えています。食品ロスを通じて同じ価値観を持った仲間を増やし、持続可能な社会づくりに貢献する街として肥後橋を盛り上げていきたいです。
―持続可能な社会づくりとして、今までご紹介いただいたもの以外に実施している取り組みはありますか?
例えば、働き方改革です。飲食店では、長時間労働が常態化している店舗が多く、長時間働くことで売上を上げることが正解というような意識もあります。ですが、今後はより効率的に短時間で利益を上げることができる仕組みをつくる必要があると考えています。
一つの方法として、現在、報酬の歩合制を構想しています。歩合制にすることで、効率よく利益を上げる方法をスタッフそれぞれが考えるようになるはずです。そうすれば短時間での勤務が可能となり、子育て中の方など時短勤務を希望する事情がある方も働きやすくなりますよね。
SDGsに関する取り組みとしてジェンダー平等も推進しており、現在のスタッフは約8割が女性です。
今後は食品ロス削減に限らず、地球、社会に優しい店舗を目指していきます。
働き方に関して詳しくはこちら→SDGs目標達成にむけて飲食業界ができること-目標8.働きがいも経済成長もー
ジェンダー平等に関して詳しくはこちら→SDGs達成にむけて飲食業界ができること-目標5.ジェンダー平等を実現しよう-
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