2025/06/19
【2025年夏のカフェ戦略】ゴンチャとタリーズに学ぶ、涼感・香りドリンク開発トレンド!

夏カフェ市場のカギは、”五感を刺激する一杯”!
2025年夏、カフェ業界は例年以上に“体験価値”を重視した新作ドリンクの開発に力を入れている。中でも、ゴンチャ(株式会社ゴンチャ ジャパン)とタリーズ(タリーズコーヒージャパン株式会社)がそれぞれ発表したフローズンドリンクは注目すべきである。
両ブランドの共通点は、ただ冷たいだけではない。食感・香り・構造といった複数の感覚を掛け合わせた“五感に訴える”ドリンク設計だ。従来の夏メニューは、味や温度感を中心に訴求されることが多かった。だが今、多くの飲食ブランドが目指すのは、“飲む体験”そのものの差別化である。カフェ業態に限らず、他業態にとっても、夏の集客と単価向上を実現するヒントが詰まった事例といえる。
ゴンチャが仕掛ける”食べるお茶”革命!食感と重層性の「GELATEA」シリーズ発売
ゴンチャが2025年7月3日に「GELATEA(ジェラッティー)」シリーズを全国発売する。「GELATEA]最大の特徴は、なんといっても食感の多層性である。
“シャリシャリ食感”のフレーバーアイスをベースに、黒糖・アールグレイ・ウーロン茶といった定番素材を重ね、多層的な味と食感を楽しめるよう設計されている。
ラインナップは以下の3種類で展開している:
『黒糖ブラック ジェラッティー』
濃厚な黒糖の甘みとブラックミルクティーを合わせた、和風デザート寄りのどっしりとした一杯。
『ざくろ&ストロベリー アールグレイ ジェラッティー』
果実の酸味とアールグレイの香りが爽やかに広がる。こんにゃくゼリーの食感がアクセント。
『マンゴーピーチ 阿里山 ジェラッティー』
南国フルーツの甘みと、阿里山ウーロンの上品な香り。バランスの良いトロピカルな仕上がり。
これらはいずれも、ティー+果実+食感トッピングの組み合わせにより、単なる「涼しいドリンク」ではなく、口内での変化や満足感を意識した構成となっている。
価格帯は620~650円と、プレミアムラインに位置づけられている。
タリーズは”香り”と”リラックス感”で勝負!
タリーズコーヒーは6月11日にブランド初となるジャスミンティーベースの『ジャスミン香るピーチフローズンティー』を発売した。この商品の特徴は、暑さや湿度で疲れやすい初夏のタイミングに合わせて、香りと清涼感を重視した設計にある。”フローズン状のピーチティー+ジャスミンの華やかな香り”で、爽快感と癒しを同時に提供する。価格は660円で、Tallサイズのみの展開。ターゲットは、仕事の合間に気分転換したいビジネスパーソンや、香りを重視する若年層女性であると考えられる。
さらに同時発売された『メロンヨーグルトスワークル®』は、北海道産のメロンとヨーグルトの二層構造によって、甘さと酸味の対比が楽しめる商品である。フルーツのフレッシュ感と発酵食品の健康イメージが融合し、満足度の高い一杯として訴求されている。
両ブランドの戦略を徹底比較!香り・構造・ターゲットの違いとは?
両ブランドに共通しているのは、”冷たい×香り×食感”という三感訴求を取り入れている点だ。夏の定番であるフローズンドリンクに、茶葉の香りや果実の酸味、ゼリーや果肉などのテクスチャーを加えることで、従来の商品とは一線を画す体験型メニューを生み出している。
一方、違いも明確である。ゴンチャはティーカルチャーをベースに、“食べるドリンク”という発想で黒糖・ビネガー・ナタデココなどを積極的に採用。構造としても重層的で、スイーツ的な満足感を高めている。
これに対し、タリーズは“香り”と“リラックス”に軸足を置いており、飲み疲れしない軽やかさと洗練された印象を重視している。
ゴンチャとタリーズに見る、夏ドリンク開発に活かせる3つの視点
これらの事例から、他の飲食業態が取り入れられるポイントは多数ある。
1つ目は、既存素材を再編集する発想である。黒糖やジャスミン、ピーチといった一般的な食材でも、温度や食感、組み合わせ次第で新しい価値が生まれる。特別な機材や大規模なオペレーションが不要でも、アイデア次第で差別化は十分可能だ。
2つ目は、”食感トッピング”で視覚効果と満腹感の相乗効果を生むことである。ゼリーやナタデココ、果肉などのトッピングは、視覚的な贅沢感と満腹感を両立できる優れた要素だ。さらにはドリンク単価を上げる手段としても有効に働く。
3つ目は、ネーミングの工夫で話題性につなげることだ。「GELATEA」や「スワークル®」のような造語はSNS投稿を促進し、来店動機にもつながる。こうした工夫を取り入れることで、夏限定メニューが“季節もの”で終わらず、ブランド体験の一部として定着する可能性が高まる。
まとめ:夏こそ「飲む体験」でブランド価値を高めよう!
ゴンチャとタリーズの取り組みは、単なる夏メニューの導入にとどまらず、”体験型ドリンク”によってブランド価値を高める戦略そのものである。味、香り、食感、見た目、ネーミング──これらを包括的に設計することで、飲食店は競合との差別化を図ることができる。特に、気温上昇とともに冷たい商品へのニーズが高まる時期に、いかに印象に残る“飲む体験”を提供できるかが売上に直結する。
メニュー開発を行う飲食店オーナーにとって、この夏の成功事例は、今後の方向性を見定めるうえで極めて参考になるはずだ。来店客の五感を刺激する一杯を、いまこそ構想してみてほしい。
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