2025/06/25

ペッパーランチ、モンゴル初進出!日本の飲食チェーンが狙う中央アジア市場の可能性

目次

中央アジア・モンゴルに広がる日本飲食ブランドの新たな商機

近年、日本の外食チェーンが東南アジアや北米に加え、中央アジア諸国への進出を加速させている。

その中でも注目されるのが、モンゴルへの展開だ。人口約350万人ながら、首都ウランバートルを中心に、主に若年層による外食需要が高まり、都市化・インフラ整備の進行によりショッピングモールや複合商業施設の開発が進む。

さらに親日的な国民性や、日本食への関心の高さも相まって、現地のマーケットポテンシャルは大きいと見られている。

こうした背景のもと、日本の飲食企業にとってモンゴル市場は「手つかずの成長余地を残す新興エリア」として位置づけられている。

ペッパーランチがモンゴル初上陸、6大陸制覇への一手

ホットパレットホールディングス株式会社が展開する「ペッパーランチ」は、2025年6月11日、モンゴル初進出となる「State Department Store店」を首都ウランバートルに開業した。場所は市内屈指の老舗デパート内で、店舗面積は約61.4坪、全132席と大規模。

ペッパーランチの看板メニューである“ジュージュー鉄板ステーキ”や“ビーフペッパーライス”を中心に、日本と同様の調理スタイル・スピード感を再現しつつ、現地の嗜好にも配慮したメニュー構成が取られている。

今回の出店で、同ブランドは世界17エリア目の展開となり、今後はフランチャイズ展開も視野に入れながら「6大陸制覇」を成し遂げる戦略の一環として位置付けられている。

吉野家と町田商店もモンゴルで存在感を示す

ペッパーランチに先駆けて、すでにモンゴル市場に進出している日本飲食ブランドもある。

牛丼チェーンの吉野家(株式会社吉野家ホールディングス)は2022年1月、ウランバートルの「The One Shopping Mall」にフランチャイズ店を開業。主力の牛丼のほか、現地向けにマトン丼なども展開し、更なる出店を目指している。

また、家系ラーメンで知られる「町田商店」(株式会社ギフトホールディングス)も2024年末に「Galleria Ulaanbaatar」内へ進出。国内と変わらぬボリューム感と味を保ちつつ、68席のラーメン店を運営している。

いずれも、現地パートナーとのフランチャイズ契約を通じ、商業施設内での出店を実現している点が共通しており、オペレーションの日本品質維持とローカライズを両立している。

モンゴル出店が示す、外食企業の新たな進出戦略

日本の飲食ブランドによるモンゴル進出が相次ぐ背景には、「市場規模よりも市場余白に目を向ける」戦略転換がある。成熟し競争が激しい先進国よりも、新興市場においてブランドの浸透・育成を中長期視点で行う方が、経営資源の投下対効果が高いと判断されている。

特にモンゴルは、都市部の人口集中と所得向上により、外食産業の土台が整いつつあり、飲食業界にとって次の成長地とみなされている。

今後は、単なる日本食の輸出ではなく、「現地適応型のブランド構築」「現地パートナーとの連携」「商業施設中心の立地戦略」といった複合的な出店モデルが求められるだろう。
ペッパーランチの公式HPはこちら

まるっと飲食情報局-1

宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。
宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。