2025/06/19

瀬戸内レモンで夏を制す!ピザーラとロッテリアの清涼メニューに見る2025夏の潮流

目次

やっぱり今年も「瀬戸内レモン」―なぜ多くの飲食企業が注目するのか?

夏、飲食業界における一つのキーワードが「瀬戸内レモン」である。

その爽やかな酸味と香りを活かしたメニュー開発が相次いでおり、今年はピザーラとロッテリアの新商品が、それぞれの業態やターゲットに合わせて多様なアプローチを見せている。

この記事では、ピザーラとロッテリアの夏季限定メニューを比較・分析し、共通点と差異から見える商品開発の意図や、他の飲食店が学べるポイントを探る。

気温が上がるこの時期に、「清涼感」だけで終わらない、“もう一歩進んだレモン戦略”が求められている。

ピザーラ:瀬戸内レモンの重層的活用で、ピザの新味覚体験を提案

宅配ピザチェーンのPIZZA-LA(株式会社フォーシーズ)は、2025年6月19日より、レモンの爽やかさを全面に打ち出した3種類の限定ピザを展開する。

核となるのは、特製「瀬戸内レモンソース」で、果汁の酸味に加え、ローズマリーの香りをほのかに効かせた旨みのあるソースだ。

・『熟成パンチェッタと瀬戸内レモンソース』

 2023年から続く定番人気商品で、塩味の効いた熟成パンチェッタと爽やかなレモンソースが好相性。

 クリームチーズやフレッシュトマトも加わり、口の中で多層的な味の変化が楽しめる。

『瀬戸内レモンソースと真蛸のプレミアムシーフード』

 新登場の一品。海老と真蛸をメインに、トマトとレッドオニオンを添えた海鮮系で、レモンの香りと魚介の旨味が調和。

『ハチミツレモンのピザ』

 甘味を活かした変化球メニュー。マスカルポーネや生ハムを使い、食べる直前にレモン果汁と別添えハチミツを加える設計。自分好みに味を調整できる体験型ピザとなっている。

このように、ピザーラは「肉×レモン」「魚介×レモン」「甘味×レモン」という異なる3軸で、清涼感と旨味のバランスを巧みにコントロールしている点が特徴だ。

ロッテリア:”素材の遊び心”を取り入れた、夏のソーダドリンクを再定義

一方、ロッテリア(株式会社ロッテリア)はハンバーガーのサイドドリンクとして、「瀬戸内レモン」を使った「レモネードソーダ」を2025年6月25日から展開する。

こちらは飲料商品でありながら、味の設計や食感の演出にこだわった作りになっている。

・『レモネードソーダ』

 瀬戸内レモン由来とするレモネードベースに、フローズンレモンスライスを合わせた爽快なソーダドリンク。シロップ漬けのレモンピールを加えることで、飲みごたえの中に微細な食感とほのかな苦味が感じられ、甘酸っぱいだけでは終わらない設計。

・『MEGAレモネードソーダ』

 通常の1.7倍のサイズで、食事のついでだけでなく“それだけで楽しめる一杯”としてのポジションを確立。

ロッテリアはドリンクの中に「食べられる素材」と「冷たさ・酸味・甘みのバランス」を巧みに配置し、飲用体験に厚みを加えている。視覚的にもフローズンレモンが映えるため、SNS映えを意識した訴求も可能だ。

「瀬戸内レモン」の使い方から学ぶ!ピザーラ・ロッテリアのメニュー戦略比較と分析

両ブランドの商品を比較してみると、以下のような共通点と差異が見えてくる。

【共通点】

共通テーマ:瀬戸内レモン

 どちらも“瀬戸内産”であることを明記し、産地イメージを活用。

 品質訴求と地産地消の文脈を両立している。

体験設計:味の変化とカスタマイズ

  ピザーラは「レモンを絞る・ハチミツをかける」、ロッテリアは「果皮の食感」という具材体験を組み込み、単調でない食体験を提供している。

季節性の訴求:期間限定・夏向け

  どちらも6月下旬からの販売で、商品コピーに「爽快」「リフレッシュ」「清涼感」などの言葉が踊る。

【相違点】

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このように、同じ「瀬戸内レモン」をテーマにしながらも、業態や商品特性に合わせて設計思想が分かれている点が興味深い。

 

すぐに取り入れたい!売れる夏メニュー開発の3つのヒント

これらの事例から、他の飲食店が学べるポイントは非常に多い。

①味覚の”多層化”で一品に驚きを仕込む

ただレモンを使うだけでなく、「酸味×甘み×塩味」のように複数の味覚を共存させることで、飽きのこない構成にする。

たとえば、デザートメニューでも「レモン+ハーブ」や「レモン+チーズ」などの組み合わせは応用できる。

②体験を演出する”仕上げの一手”を仕込む

ハチミツを後がけにする、レモンを搾らせる、ピールを感じさせるなど、“食べる人の参加”を演出することで満足度が高まる。ドリンクやスイーツにも応用可能。

③地域素材の訴求でストーリー性を高める

瀬戸内レモンという「具体的な産地」を掲げることで、味の裏側に物語が生まれ、ブランドとの心理的距離が縮まる。地元食材を使った小規模店にも活かせる考え方だ。

 

「酸味」から「体験価値」へ―瀬戸内レモンが飲食業界にもたらす変化とは?

この夏のピザーラとロッテリアの施策から見えてきたのは、「素材としてのレモン」ではなく、「体験価値としてのレモン」の活かし方である。

レモンがもたらす爽やかさに、旨味・香り・甘みといった要素を重ね、多様な味覚・視覚・感覚を一つの皿や一杯に込める——。こうした設計が、今後の飲食トレンドにおける重要なカギとなっていくだろう。

飲食店経営者や開発担当者は、ぜひ“レモンの使い方”という一見シンプルなテーマの中に、新しいマーケティングの種を見出してほしい。

まるっと飲食情報局-1

宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。
宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。