\弛まぬ努力と支援が生んだ特定技能人材/ベトナム出身のトゥアンさんに6年間の勤務で得た「現場力」と今後の展望をインタビュー!

都心の喧騒から少し離れた場所にある和食店「茶寮宮坂」。

丁寧に仕立てられた料理と向き合えるその店で、カウンターに立つ一人の外国人スタッフがいます。

トゥアンさん──ベトナム出身の彼は、幾度もの挑戦と支援を乗り越えてこの場所に立ち、今もなお努力を重ねながら成長を続けています。本記事では、彼の6年間の道のり、働く中でぶつかった壁、そしてこれから描く未来についてご紹介します。

幾多の挑戦を乗り越えたキャリアと和食店での現在

 

ベトナムから日本へ飛び立つ決意

 

ーーー日本で働くきっかけは何だったのでしょうか?

「もともと海外で働きたいという夢があったので、高校卒業後にベトナムを出ることは確定していました。日本を選んだのは、日本に住んでいる親戚がいたからです。その親戚から『日本は経済も安定していて、人も親切でとても良い国だよ』と聞きました。僕の母も日本行きを応援してくれたので、そこで日本行きを強く決意しました。」

 

焼肉居酒屋から日本料理店へ。6年間の多様なキャリア

ベトナム出身のトゥアンさんは、2019年に来日して以来、今年で6年目を迎えます。最初に働いたのは福岡県の焼肉居酒屋で、ここで接客力と日本語能力の基礎を築きました。その後、建設会社での勤務を経て、現在は六本木の和食店「茶寮宮坂」で働いています。

 

ーーーこれまでのキャリアと現在のお仕事について教えてください。

「最初に働いた焼肉居酒屋は、和気藹々とした雰囲気が特徴のお店でお客様とのコミュニケーションも多く、ここで、日本語能力や接客力がかなり身についたと思います。その後、建設資材販売や施工を行う建設会社に従事し、現在は六本木にある日本料理店で、ホールとキッチンの仕事をしています。最近では、店主の五十嵐さんと一緒にカウンターで調理と接客をできるようになりました。これまでの仕事とは違い、和食の知識や盛り付けの仕方、味付けの繊細さ、扱う食材とお酒の知識など日々学ぶことが多く、毎日充実した日々を過ごしています。」

 

現在の仕事では、店主と一緒にカウンターに立ち、調理と接客を任されているそうで、毎日が充実していると語っていました。

 

和食店で感じる「自分だからこそつとまる仕事」のやりがい

トゥアンさんは、和食店での仕事に深いやりがいを感じています。特に、新しい知識や技術を習得していく過程に大きな喜びを感じているようです。

 

ーーー 現在のお仕事でやりがいや充実感を感じるのはどんな時ですか?

「6年たった今も、毎日新しい出会いや学びがあり、刺激的でとても楽しいところです。
当店では季節によってメニューが変わるため、毎月新しい料理や食材を覚えなければならず、手先の技術だけでなく記憶力も求められると思っています。お客様のお苦手や好みの味わいも把握する必要があるからです。日本語はまだまだ勉強中なのでメニューを覚えるのは時間がかかってしまいますが、できなかったことができるようになる瞬間が気持ちよくて、日々楽しみながら努力しています。

外国人のお客様が来店することもあり、同じくベトナム生まれのお客様にお会いした時はとても嬉しくなります。その際、日本語ではなくベトナム語で対応することもあり、「自分だからこそつとまる仕事」ができたと感じてやりがいを感じます。」

お客様に提供するお料理の盛り付けを行うトゥアンさんの写真

丁寧かつ迅速に、心を込めて盛り付けるトゥアンさん。作業中は真剣ですが、お客様に接する時はこちらも笑みが溢れるほどの笑顔です。

日本で6年間働いて、学んだことや得たものはありますか?

 

「長く続ければ、必ずできるようになる」という信念

トゥアンさんは、日本での6年間で多くの壁にぶつかりましたが、その度に「長く続ければ、必ずできるようになる」という信念で乗り越えてきました。

 

ーーー 日本で6年間働いて、学んだことや得たものはありますか?

「長く続ければ、はじめはできなかったことも必ずできるようになる」ということです。日本に来てから、日本語でのコミュニケーションや日本文化に慣れる必要があったこと、仕事の面接も簡単にクリアできたわけではなく、何度も受けて不合格になったことなど、ぶつかった壁はたくさんあります。ですがどれも、諦めずに挑戦したら叶いました。現在のお仕事でも、店主とカウンターに立って接客できるようになりました。長く続けると、できなかったことができるようになるだけではなく、こなすスピードも早くなります。「できない」ではなく、「時間がかかる」というふうに捉え、何事もめげない姿勢を大切にしています。
また、自分を信頼してもらうためには、「真面目な態度」「時間」を守ることが大切だということも学びました。」

 

日本語でのコミュニケーションや日本文化への適応、そして就職活動の苦労。これらすべてを乗り越えた経験から、彼は「できない」ではなく「時間がかかる」と捉えることの大切さを学びました。このような前向きな姿勢は、飲食店経営者や採用担当者が、外国人材の育成を考える上で参考になるでしょう。

 

 厳しい就職活動とそれを支えた支援機関の存在

活躍しているトゥアンさんですが、仕事探しでは苦労した経験があります。しかし、彼を支えたのは、G-FACTORYのような「登録支援機関」の存在でした。

 

ーーー今は活躍されているトゥアンさんも、仕事探しに苦労した経験があるのですね…

「はい、「自分ならできる」という自信を失いそうになりましたが、G-FACTORYのみなさんが何度も励ましてくれたおかげで今は最高に楽しいです。書類の準備から面接の練習までフルサポートしてもらったおかげです。ありがとうございました。」

 

※当社は「登録支援機関」として、特定技能外国人が日本で安心して働けるよう、生活や就労に関する情報提供・相談対応・各種手続きを支援する機関です。入国前から在留中まで継続的にサポートし、就職後も、職場や生活面のトラブルにも対応します。

【コラム】登録支援機関の役割
登録支援機関は、特定技能外国人が日本で安心して働けるよう、入国前から在留中まで継続的にサポートする機関です。就職後の職場や生活面のトラブルにも対応し、外国人材と雇用企業の双方を支える重要な役割を担っています。飲食店が特定技能外国人を採用する際には、こうした機関のサポートを活用することで、スムーズな雇用・育成が可能になります。

夢の実現に向けた挑戦と目標

 

和食の知識を深め、特定技能2号取得を目指す

トゥアンさんの今後の目標は、和食に関する知識をさらに深め、お客様に日本酒やワインのペアリングをお勧めできるようになることです。

 

ーーー これからの目標を教えてください。

「今よりもっと和食の知識を深めて、日本酒やワインのペアリングをお勧めできるようになりたいです。お客様に、茶寮宮坂での食事を楽しんでいただけるように、しっかり勉強したいと思っています。特定技能2号の資格も取りたいです。現在は1号で、2026年4月に2号の試験に合格できなければベトナムに帰らなければいけません。これからも大好きな日本で働くために、仕事だけでなく日本語の勉強にも力を入れていきます。」

 

(インタビュイー:トゥアンさん / 取材・執筆:青山 )

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編 集 後 記
オープン前の日中に取材を行った数日後、会食で茶寮宮坂に足を運ぶ機会がありました。日中の朗らかな雰囲気とは裏腹に、カウンターで真剣な眼差しを向ける姿を目にし、思わず見入ってしまいました。オープンして1時間後には満席になり、お忙しそうだな…と思いましたが、トゥアンさんからはセカセカした様子が微塵も感じられず、かといって手は素早く動いている姿を目にし、改めてそのプロフェッショナリズムに感銘を受けました。普段から店主に接し、自分から技術を学んでいるというトゥアンさん。そんな彼がもてなす「茶寮宮坂」は、料理だけでなく人の温かさにも出会える場所です。ぜひ一度足を運んで、心温まるおもてなしを体験してみてください。
青山萌依
G-FACTORY株式会社 Promotion Support 大学在学中より、学科新聞の編集長として企画・編集・デザイン・取材・執筆を一手に担当。インターンシップではウェブライターとして活動し、金融・飲食・マッチングアプリなど多岐にわたる分野で執筆を経験。情報の本質を捉え、読者に伝わるコンテンツづくりを追求してまいります。
青山萌依
G-FACTORY株式会社 Promotion Support 大学在学中より、学科新聞の編集長として企画・編集・デザイン・取材・執筆を一手に担当。インターンシップではウェブライターとして活動し、金融・飲食・マッチングアプリなど多岐にわたる分野で執筆を経験。情報の本質を捉え、読者に伝わるコンテンツづくりを追求してまいります。