2025/06/24

夏メニューのボリューム戦略!松屋『厚切りトンテキ』と松のや『大麦豚かつ』に学ぶレトロと本格の二軸展開

目次

「厚切り肉」こそ、夏メニューの売れ筋カテゴリー!

外食業界では、気温の上昇とともに「しっかり食べたい」という需要が高まる傾向がある。

特に2025年の夏においては、スタミナ系・ボリューム感ある肉メニューがトレンドの中心にある。

そんな中、松屋と松のやにて「厚切り」をキーワードにした新商品を発表。どちらも“満足感”を重視した戦略的商品設計となっており、価格帯・ターゲット・提供価値の観点から、他の飲食店にも夏メニューの参考になる要素が多く含まれている。

松屋:「平成レトロ」で郷愁を誘う『厚切りトンテキ定食』

牛めしの松屋(株式会社松屋フーズホールディングス)が打ち出したのは、2025年6月24日(火)より販売開始される『国産雪国育ち厚切りトンテキ定食』。

これは“平成レトロ”を意識した復刻系メニューで、2000年代に人気を博した「トンテキ定食」をベースに、肉厚×濃い味ダレでガッツリとした食べ応えを提供する。

使用する豚肉は「国産雪国育ち」の厚切りのロース肉。にんにく風味の醤油ダレがしっかり染み込み、ご飯が進む構成。定食価格は税込1,380円で、さらに、松屋アプリを通じた50円引きクーポン配布により、初期来店の後押しにも配慮されている。

ターゲットは30代〜50代の男性層を中心とした「懐かしさと満足感」を求める層。店舗オペレーション上も、既存設備で対応可能な加熱・提供スタイルとなっており、既存の牛めしメニューとのオペレーション干渉が少ない点も強みである。

松のや:ブランド連携で本格派を訴求する『カナダ大麦豚厚切りロースかつ』

一方、同社の松のやでは2025年6月25日(水)より『カナダ大麦豚厚切りロースかつ』を発売。

同商品は、日本ハム株式会社とのコラボレーション第2弾として企画され、肉質」と「揚げ技」にこだわった本格志向のとんかつ定食だ。

特徴は、カナダ産の「大麦豚ロース」を厚くスライスし、低温でじっくりと揚げたジューシーな仕上がり。さらに、脂の旨味と赤身のバランスが良く、柔らかさと歯応えを両立している。価格は単品で税込790円、定食では税込1030円。ご飯・味噌汁・千切りキャベツがセットとなる定番構成で、ボリュームとバランスが意識されている。

注目すべきは、「おろしポン酢」トッピングを用意している点。

揚げ物メニューの“重さ”を緩和し、夏場でも食べやすくする工夫だ。

ターゲットは、揚げ物志向の20代〜40代男女。松のやの中でも高単価な位置づけにありつつ、“ご褒美感”や“安心品質”で差別化を図っている。

厚切りメニューの構成・価格・訴求軸を比較

松屋と松のやの厚切り肉メニューは、同じ「厚切り×スタミナ系」カテゴリに属しながら、明確に異なるコンセプトで構成されている。

両ブランドの厚切りメニューは、「ボリューム」「味の設計」「ターゲット層」などにおいて明確な違いが見られる。

松屋の『厚切りトンテキ定食』は、平成世代を中心とした30代〜50代の男性に向けて、「懐かしさ」と「ご飯との相性の良さ」を前面に押し出した構成が特徴だ。にんにく醤油ダレで焼き上げた豚ロースはボリューム満点。

一方、松のやの『カナダ 大麦豚厚切りロースかつ』は、品質にこだわる20代〜40代の広い層をターゲットにしている。カナダ産の大麦豚を分厚くカットし、低温でじっくり揚げることで、ジューシーさとやわらかさを両立。おろしポン酢のトッピングも用意され、夏場でもさっぱりと楽しめる仕上がりとなっている。

両者とも「厚切り」をキーワードに据えつつも、松屋は“懐かしさ×ボリューム”松のやは“本格派×品質重視”という異なる切り口からアプローチを行っており、それぞれのブランド戦略が商品設計に色濃く反映されていることがわかる。

 

このように、松屋は“懐かしさ”と“ご飯との相性”を訴求軸に、松のやは“品質感”と“調理技術”による訴求を重視している。いずれも「厚切り×特化型設計」によって、他メニューとの差別化を図っている点が共通している。

他店が活かせる「厚切り×専門性」戦略を夏メニューに応用法

この2商品から読み取れる飲食店向けのヒントは以下の3点に集約される。

①【厚切り=満足感】として明確に打ち出す

→ 通常の定食との差別化軸として、「厚さ」を明示し、ボリューム訴求につなげる。

 

②【調理方法と味付け】で記憶に残る個性を作る

→ 焼き or 揚げ、ダレ or 塩など調理アプローチと味構成で“食べ応え”に演出を。

 

③【価格帯とトッピング】で再訪動機を強化する

→ 初回はクーポン、再訪は“選べるトッピング”などで長期的な集客を意識。

 

加えて、「レトロ回帰」や「本格素材コラボ」など時流を捉えた企画軸も、話題性の創出に効果的である。

まとめ:「厚切り戦略」は夏メニューの勝ち筋に!

2025年夏、飲食業界においては「厚切り×戦略性」のあるメニュー展開が重要な勝ち筋となっている。

松屋・松のやの事例からは、「同ジャンルでも異なる角度で設計し、ターゲットを明確化する」ことで、競合と差別化しつつ集客力を最大化する手法が見てとれる。「厚切り×満足感」で勝負する夏メニューは、他店でも再現可能な施策のヒントに満ちている。ぜひ自店でも“記憶に残る一皿”づくりに活かしてほしい。

国産雪国育ち厚切りトンテキ定食のリリースはこちら

大麦豚厚切りロースかつのリリースはこちら

 

まるっと飲食情報局-1

宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。
宮原康助
ケムニッツ工科大学院 哲学部大学ではコミュニケーションを専門に学びながら、「どうすれば人の心に届く表現ができるのか?」を考えてきました。記事では、読む人にとって“わかりやすくてタメになる”、そしてほんの少しでも前向きになれるようなコンテンツを目指しています。「食」は誰かにそっと寄り添う力があると信じています。その魅力と可能性を、さまざまな視点から丁寧に発信してまいります。